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2013.02.04 Pessoa : Risposta
先日ハッサンحسّن師の紹介されたペソア『不穏の書、断章』はぼくも購入し、折に触れて眺めています。
2013年も出だしから好著が刊行され、どことなく幸先の良さを感じます(霊感的言説)。

同じ本でも、やはり人が変われば共鳴する波長域も変わるものですね。
「箴言集として読むことは、ペソア本来の意図するところではないのでしょうが」と、ことわりを入れながらとは言え、ハードボイルドな引用をするものだなあと、師の真摯な人柄を感じてしまいます。

翻ってぼくなどは怠惰な人間なので、ポルトガル語の響きが訳文からでも香ってきそうな感覚的な章句に惹かれます。
たとえばこんな。


6:あらゆる詩はいつも翌日に書かれる。

83:私は読書の習慣を越えてしまった。私はもはやなにも読まない。ときどき、新聞や軽い文学を少し読み、ときに技術的な論文を読むだけだ。

117:樹と 樹を見ること/夢はどちらにあるのだろう


とりあえず珈琲でも淹れたくなります。(ブラジルじゃないけどね)

一切の解釈は野暮なものとは思いつつ、ペソアの言葉(尤も、この助詞「の」そのものが既に不毛なのかもしれません)が自分のなかで響かせたトーンを敢えて言語化すると「精妙な戯れごと」とでも言うべき調子でしょうか。
異名や、たがいに一見矛盾するような章句の数々や、ぞんざいなようにも、苦心して彫琢されたようにも見える言葉からは、それに対する読者の反応を見て実験しているような、そしてこの実験はあくまで無目的であることを目的としてなされているなどといって笑っていそうな書き手を想像してしまう。さらにはその想像じたいがこちらの勝手な思い込みだと時折自覚させられ、気付けば堂々巡りにはまっているような、そんな(ある種カフカ的な)たのしい読書体験でした。

とはいえ、そうした多次元的解釈の余地を残すすぐれた創作は、おそらくは弛まぬ研鑽-discipline-が背後にあるのだろう、と思うところにどこかで行き着くので、いやしくも創作に携わるものとしてはひとまず背筋を伸ばしておこうと思います。

でもやっぱりこんなのがいいなあ。


100:あらゆる波止場は、石の郷愁(サウダーデ)。


……

あっそうそう、もちろん、融解建築ライヴ、

   2月24日 @ メガネのパリミキ四条烏丸店 with THB(無料!)16時より

   3月15日 @ 吉祥寺Silver Elephant with YUKA & CHRONOSHIP open 19:00

   3月16日 @ 沼袋Sanctuary with TAIKA , Band Pegasus open 16:30

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